テロと抗議との距離

前回のエントリーについて、「なんかオカシイ」と思う点を列挙しておきます。

小指を切るのはテロか

切断した小指を送りつけて、テポドン発射に抗議することは「許しがたいテロ行為」だと総聯中央本部の南昇祐副議長は述べたようです。

総聯中央本部に対する悪質な脅迫事件 南昇祐副議長の談話

今回の事件は、朝鮮のミサイル発射訓練を口実に「制裁」が加えられ、「金融制裁」まで追加発動されるなど、日本当局による敵対的措置が日増しにエスカレートするなかで発生した許しがたい犯罪的脅迫テロ行為と断じざるをえない。

が、はたしてこれはテロなんでしょうか。

かつて、靖国参拝に抗議して、韓国の人が小指切断した、ということがありました。

「日本首相の靖国参拝に抗議」決死隊が指切断

今回の「事件」がテロだとすれば、上記の韓国の人たちの抗議も、テロ行為なんでしょうか。

罪なき人を「テロ容疑者」に仕立てる

朝鮮新報は米国議会のテロ容疑者取り扱い法採択に対して抗議し、

米国がこうした法採択を通じて狙うものが何であるのかは難なく推測できる。それは明らかに、米軍の人権侵害を合法化し、さらに助長して多くの罪なき人を「テロ容疑者」に仕立てて処刑することで国際社会に恐怖の雰囲気をつくり、侵略的な「対テロ戦」を拡大、強化して世界支配の野望を実現することである。
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2006/04/0604j1021-00002.htm

と述べていますが、朝鮮と日本と、もっと仲良くしましょうよと呼びかける一青年を「テロ容疑者」に仕立てようとしていることとの整合性はどうなるのでしょうか。

仲良くすることと、差別・制裁

また、この「談話」の記事の上記文章のあとは、在日朝鮮人に対するいやがらせがおきていることを述べています。そうしたいやがらせ行為が許されないのは当然ですが、この行為はチマチョゴリを切ったり差別的な言葉をなげかけたりということとはまったく一線を画することでしょう。

しかもこの談話は、

総聯は、日本当局が「制裁」措置を直ちに撤回し、朝・日平壌宣言の基本精神に基づき両国の関係改善に真しな姿勢で取り組み、総聯の活動と在日朝鮮人の人権および生活を保障する適切な対策を講じるよう強く要求する。

という文章で締められています。小指問題はどこへ行ってしまったのでしょうか。

「犯罪」とその捜査

また、朝鮮総連が正式に被害届を出したとはどの記事にもありません。「相談を受けた警視庁麹町署は」とあるだけです。被害届を出していないとすれば、そもそも「犯罪」ではないと考えているんじゃないでしょうか。

警察は「封筒などに残された指紋から送り主を福元容疑者と特定」とありますが、本名を手紙に書いているのに、指紋で「特定」するのも変な話です。

[政治・国際・社会]
2006.10.23 - 08:06 AM |
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