日本の電子本の暗い未来

電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退

Sigh...
前に書いたとおり、Kindleのような電子本端末が出現するのを今や遅しと待っているのですが……
なんと撤退……何考えているんでしょうか。いや、考えてないのか?

新聞が強固に今のビジネスモデルをごり押しするのと同じで、既得権益を手放そうとしないあまり、新たな商機を完全に失うまで気がつかない、ということでしょう。
iPodにやられたのと同じ。

日本の場合の最大の問題は、新しいビジネスモデルを作ろうとしないことから来るコンテンツの不足と、閲覧に対する制限です。
読者にとって一番便利なのはどういうものかということから考えずに、どうやったら権益を守りつつおいしい思いができるかということから考えている。結局守れないのにね。
コピーがカンタンにできないとか、60日しか読めないとか、何のためにネットワークとデジタルを使うのか、ユーザーからすればまったく意味わかんない不便な仕様にしておいて、売れるわけがない。

本箱にあるすべての本を端末に入れて持ち歩けたり、サーバーにある自分の「本棚」に簡単にアクセスでき、一度購入した本を永久に保持していられるのなら、みんな使うでしょう。iPodにすべての手持ちCDが入ってしまったように。
特に日本の都会では、本欲しくても置く場所がないんだから。

まあ、Kindleもおもったほど大成功というものではないようですが、その要因はやっぱりKindleにもある不自由さ・不便さによるのだと思っています。

iPhone/iPod touch用のコミックブラウザは、すでにJail Breakしたもの用にはあるようですが、正式にも間違いなく出るでしょうね。
ボイジャーもなんか出すんじゃないかと期待してます。

既存のPC用電子本リーダーのUIは……TeaTime系はまだマシですが、でもまだ改善の余地ありと思います。
一般的には、あまりに本のメタファをおいすぎるあまり、逆にデジタルである利点を失っているものが多すぎると感じます。


しかしこの撤退は、市場にあまりいい印象を与えないから、国内で再度挑戦しようという機運は生まれなくなるでしょう。
出版業界・メーカーは真の原因がわからず(または考えたくなくて)「デジタル本は日本では売れない」という結論にしてしまって、それだけが重く残り、新たな企画は出なくなる(出せなくなる)でしょう。
しかしケータイのコミックや小説市場は育っているので、「パラダイス鎖国」状態がしばらく続いて、それから日本語版KindleもしくはiPhone/iPodによるリーダーの登場で、またしても国内市場がUS企業にもっていかれる可能性大ですね。

しかしこればっかりはアプリケーションやそのUIが優れているだけではだめで、コンテンツが提供されないといけないので、政治力がものをいう世界。

Amazonががんばってくれるか、もしくはジョブズ御大が立ち上がってくれるか……しか今の希望はないかも。
御大は、本なんかiPodで読むもんか、って言ってるみたいだけど、ビデオについても同じことを前言ってたし……音楽市場をすっかり変えてしまったように、世界中の出版市場を変えてくれることを願っています。別にジョブズでなくてもいいんですが、いずれにせよ黒船が来ないとだめじゃないか……と。

[コンピュータ, 書籍・雑誌]
2008.07.02 - 12:59 PM |
観劇『だるまさんがころんだ』 | ようやく、iPhone

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