27歳右翼(薩州思想舎侠勇会 会長)の行動と、その報道

今週の『SPA!』目次直後のトップ記事『[27歳右翼]が逮捕直前に語った言葉』は秀逸です。4ページの記事ですが、これこそドキュメント。

一か月前になるのですが、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に、テポドン発射に対する抗議と書かれた手紙と、人の小指が送りつけられたそうです。
このドキュメントは、その送り主である27歳の男性に逮捕直前に密着して、新聞記事から受ける印象とはかけ離れた事実と、この男性の思いと生き方を浮き彫りにしています。

新聞、警察、朝鮮総連によれば「脅迫」であるとするこの手紙の内容は、この記事に掲載された全文(ほかの報道には一切載っていない)を読むと、むしろ逆に、テポドンが日本への「脅迫ではないでしょうか」と書いていて、それに強く抗議している内容なのです。そのうえ北朝鮮に対して「隣同士の国なのだから、助けたり助けられたりできないでしょうか」と呼びかけ、いわば「お願い」しているのです。
どこをどう読んでも、「脅迫文」ではありません。
少なくともこれだけで脅迫の容疑で逮捕するのは、不当逮捕でしょう。

また、小指を送ったのは、嫌がらせと言ってもいいでしょうが、しかしそれをもって朝鮮総連の言うような「テロ」であるとすることはどう考えてもできません。
朝鮮人に対する差別であるとも言えません。

抗議の方法には、実効性のうえでも賛成できるものではありませんが、様々な方面の思惑によって「脅迫」と貶められ、逮捕され、またゆがめられた報道しかされないということに、不安と怒りを感じるとともに、この薩州思想舎侠勇会の福元善隆氏には同情を禁じ得ません。

それにしても、この、田上順唯氏による取材と記事は、「事件」を冷静に浮き上がらせるとともに、福元氏の人間像に迫っていて、見事です。すばらしい。

[政治・国際・社会]
2006.10.19 - 08:34 AM |
『蟻の兵隊』 | テロと抗議との距離

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