野口英昭さんの死の報道

野口英昭さんの、沖縄での死についての情報の伝わり方は、異様です。
新聞ではほとんど報道がなくなりました。少し前までの報道では「自殺した」という枕詞が名前の前に何の疑問もためらいもなくつけられていました。
一方、テレビでは「自殺」を補強するとされる不自然な情報が流され、遺族の言葉が強引に引き出され意図的に選別され、ねじ曲げられて伝えられています。

証拠の残りにくいメディア、論理的な検証ぬきでは伝えにくいメディアでは情報を伝えず、映像によって情感と印象だけで伝えてしまうメディアでの露出を増やすやり方で、事実を覆い隠そうと、なりふりかまわない方法がとられています。

恐ろしいのは、警察が必ずしも市民の味方にならないことや、事実を知らせようとしないこと、も、もちろんですが、それよりなお、メディアが完全にジャーナリズムの立場を捨てきっていることです。(いまさら「ジャーナリズム宣言」しちゃってる大新聞なんて、もともと自らジャーナリズムじゃなかったと認めてるわけですが、それでも「宣言」してなお矜持のかけらもないとは……)
そして、これほどいとも簡単にコントロールされてしまうメディアを支えているのは、それよりもっと簡単にコントロールされてしまう市民なのでしょう。

今はまだ、インターネットが力を得ていない。テレビや新聞よりも力のないメディアであるからこそ、テレビや新聞には流れない情報が玉石混淆で流れます。
ですが、それは幸いと言うべきでしょう。
力を持ってしまったそのときには、インターネットもまた、テレビのように、誰かによって選別されてしまった情報が、それを担いでバカのように躍る人によってのみ、伝えられるようになってしまうでしょう。

オルタナティブな情報発信源や、一様でない意見の場をまだ持てている今、そうした言葉のひとつひとつから、眼を放せないでいます。

[政治・国際・社会]
2006.02.20 - 02:30 AM |
「白い一日」の青さ | 矢野顕子を聴いた夜

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