THUNDERBIRDS ARE GO!

最近ときどきNHKで夜中に『サンダーバード』をやっていて、つい見入ってしまってたいへんな寝不足になったりする。
それにしても、制作は1965年。日本ではNHKが66年に放映したみたいだけど、ぼくが見たのはオープニングに日本語の主題歌が入った再放送版。
いまだに、オープニングのカウントダウンと「THUNDERBIRDS ARE GO!」のかけ声とともに鳴り響くテーマソングを聴いただけでわくわくする。

最初に見てから、再放送はたぶん見てないとおもうんだけど、とするともう大昔なのに、「ああこれ見た!」とはっきり覚えているシーンがいくつもあり、そのときのドキドキ感さえ思い出すのにはびっくりするくらい。
設定としては単純な「子どもだまし」的なものも多いんだけど、そんなものは気にならない。この年になって見ていても興奮を覚える映像とメカ。すげえなあ、これ作ったの40年近く前なんだよなあ。

しかし……実写版映画が始まる前にこの再放送やってなくてよかったよ。もりあがりまくったあげくに、どん底につきおとされたかも。それでなくても相当期待して見に行ったのに……。

映画版がダメな点は多々あるけれど、一言で言えば、サンダーバードへの愛情がない。「お前ほんとにサンダーバード見てたのかよ?」って制作者にいいたくなる。テレビを夢中で見ていたヤツがこんな作り方するはずがない。

サンダーバードへの思い入れは、やっぱりなんと言ってもあのメカ群にある。どうみたってジェリー・アンダーソン(「サンダーバード」の生みの親)もメカ好きだろう。番組の毎回のお楽しみは、スコットやバージルがリビングからくるりと戸板返しをして滑り台やエレベーターで1号、2号に乗り込み、椅子が回転して操縦席についたあと、プールが開いてジェット噴射の中1号発射! 大きな格納庫の扉が開いて緑色の巨体が悠然と登場、椰子の木がぱさりと倒れた滑走路を進んで、ぐぐっと斜めになったらカタパルトが開いてジェット噴射の中2号発射!ってところだろう。

ここの発射シーンは、見直してみるとほんとに毎回、けっこう時間をかけて見せてくれているのです。
映画版はこの一番肝心なとこを、かなりあっさりとした映像ですませてしまった。2号が発射するところを少しやったぐらいでは、物足りない! ここをじっくり映像化したいと思わないなんて、絶対にサンダーバードに愛がない。

だから、世界中の(元)男の子(女の子も?)が愛してやまない2号を、あんなデザインに変えてしまうし、4号はまるで違うものになってしまっていました。
どれだけぼくたちが2号が好きかを、映画の作り手は知らないのでしょう。ああかなし。

子どもに親近感を持たせたかったのか、設定をテレビ版よりも何年か前にして、登場人物をみな若いときにした。これもかなり違和感。国際救助隊は、かっこいいオトナが正義と人命のために冷静に活躍する物語、だったからこそのあこがれだったし、そうしたオトナたちが「はい、パパ」なんてセリフで交信してるところがまた不思議な安心感を与えてくれていたのだ。映画版のアランはお子ちゃまだし、パパも若すぎ。若いけどよかったのはペネロープぐらい。

しかしペネロープ号がロールスロイスじゃなくてフォード・サンダーバードって何だよ。まさか名前で選んだとは思えないけど(まさか……ね)、ピンクのロールスロイスだからこそのお嬢様なのになー。どんな事情があったのでしょうか。
でもまあ、ペネロープ号はよかった。飛んだり潜ったり。それでこそのサンダーバードですよ。

キャストとしては、グリーン先生のブレインズははまり役だったね。もうちょっとおっきなメガネかけてほしかったけど、雰囲気はなかなか。

ストーリー。これがまたダメ。自らがフッドのわなにはまってしまい、そこから何とか逃れる……って、国際救助隊なのに、だれも救助してないじゃんか!
世界に名だたるサンダーバードの2号がロンドンに着陸して、ジェットモグラで銀行強盗はじめてるってのに、それに対するロンドン市民の反応薄。何が起こっているかわからないはずなのに1号が追ってくると喜んでる図はなんだかヘン。

そうそう、それと、ロンドンの公園に2号、1号が着陸するシーン、どちらも身軽に動きすぎ。40年前のサンダーバードは、ただの模型が、あんなに重々しく、どでかい雰囲気ありありなのに、21世紀のCG使って、なんであんなに重量感のない2号作るかな。

なんて映画を見た後だと、テレビ版、ほんとすごく見えます。
いろんなメカの動きをほんとに執拗にじっくり見せてるんですね。メインではない、ちょっと出てくるだけの消防車などもかっこよく作りこんでいる。
炎や煙や爆発の映像もすごい。円谷プロも、これ見て闘志燃やしてたんだろうなー。

番組の最後はたいていトレーシーアイランドのリビングで、みんなで談笑、ときどきちょっとした笑いオチ、って感じで、それまでの緊張をふっとときほぐすところもうまい。
リビングでミンミン(ほんとはTin Tinだったのか、へー、というのは映画での数少ない収穫)が横たわっていた椅子のデザインが美しくて気になった。

テレビ版の公式サイトが日本語版もあるのですが、ここから、映画版サイトへのリンクがないばかりか、映画版にまったく言及していないのはなぜなんだろう。ロゴが「"Classic" THUNDERBIRDS」となっているところに「映画とは違うんだ!」という主張が見えるようで……ううん。

サンダーバード関連サイト

[映画・演劇・テレビ]
2004.12.05 - 01:55 AM |
こうの史代 『夕凪の街 桜の国』 | 「電車男」著作権と「知的財産」

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