この選挙。うれしさ、おもしろさ、そして残念さ。

当選してうれしい一番は、やっぱり田中康夫。
党からはたった一人だけど、舞台を国政に移しての康夫ちゃんの活躍、大期待しています。
ただもうすこしほかのグループと共闘するという道はないものか……と。
共闘したかと思ったら、9条なんて実に重大な部分で一致していない相手だったり……まああれは離れていってよかったと思いますけれど、そんなことが未確認だったというのは何で、と思わざるをえません。
有田芳生さんは残念だったけれど、引き続きジャーナリストとして活動を続けつつ、康夫ちゃんを助けてもらいたい。

川田龍平。
つい龍平くんといいたくなる若さだけれど、「骨のある若者」とは彼のような人をこそ言うのだよなあ。開票時にもかなり慎重に冷静に受け答えをしていたのが印象的でした。こちらも大期待です。


丸川珠代は、面白いことになりました。
おっちょこちょいなところは憎めないけれど、これまでそれなりに反小泉な考えをもってきていて、しかもそれを公に語ってきていたのに、阿倍さんから誘われるがままに自民党から立候補するなんてまったく信用ならない。
国政の中心で力を発揮したいという思いはいいとしても、自分の信念を曲げてまで自民党の中に入って、思うように力を発揮できるわけがない、ということをどうして想像できないのか。いったい刺客候補を批判していた目はどこについていたのか。
……と思い、「絶対に入って欲しくない候補」のひとりだったんですが……しかし自ら、阿倍さんの刺客として、議員生活何十年の大御所、保坂三蔵を見事!打ち倒しました。
当選したのに、まあ表情の暗いこと。阿倍・丸川・保坂、だれも喜んでなく、むしろ強いマイナス感情がグルグル渦巻いていることでしょうね。
今朝、丸川さんの古巣であるテレ朝で生インタビューしてましたが、スタジオからの質問がそれは辛辣なこと。後輩からも厳しい率直な質問が出て、しどろもどろでした。

こうした経緯では、彼女の思いとは裏腹に、実際にはたいしたことはできないんじゃないでしょうか。素直に民主から出てればよかったのにね。

ところで丸川珠代の公式サイト、選挙終了の現時点でも更新されておらず、よりにもよって、「期日前投票」をいまだに呼びかけているところがイタイ。


残念だった人。

尾辻かな子さん。彼女の落選は、実に残念。
尾辻さんのようなマイノリティの立場にいる人が国政に参加する意味は、すでにそれなりの力を持っている人以上のものがあるはずです。とても小さな力でも、食い込むことで、蟻の一穴となる。
しかし、そうであるがゆえに、堤防はいまだとても固いということでしょうか。
おそらくは、本質的には同じ変化を望んでいる人の中にも、まだ厳然と存在する感覚的な差別感や忌避感があるのでしょう。それが意識的であれ無意識的であれ、同性愛者であることを公言する人を国政に出すことへのブレーキとなってしまっているのではないでしょうか。

今回、ギリギリの敗退ではなく、民主のこれだけの大勝でも当選ラインは彼女のかなり上にありますから、この社会の許容度はまだまだ小さいと感じざるをえません。
同性愛者であるということは、異性愛者であるということと何も変わりがないとぼくは思うので、同性愛者を「売り」にするのは、たとえば「女性として」といった言葉と同様に、原則的には好きではありません。しかし好きでない理由は、それがそもそも「売り」になるような社会であるべきではないという思いからであって、現状がそのような社会になっていない以上、そこを「売り」にして闘う人がいなければなりません。
しかしまだ闘うステージにも乗れないのか……とがっかり。
それでも、レズビアンであることをポスターに高らかに謳い、選挙を闘ったことは無駄ではないはずです。多くの人の目にふれ、耳に聞こえたそのことが、少しでも堤防をほじくることにはなったでしょう。そう信じたい。


天木直人さん。
「9条」というのは実に明快な立場と主張の表明なのだけれど、それだけでは弱い……弱すぎる、のですね。思っていた以上に票の数はとても限定したものでした。民主党の一部、共産党、社会党、新党日本も9条堅持を謳っているわけで、違いが明確でないし、政党としても名称が9条だと、他に何をするのかしないのかわかりにくく、議院に参加させたいという動きになりにくい。
ご本人のブログでは、9条というひとつの旗の下に協力ができないものかという意味のことを書かれていますが、まさにそのことを、天木さんに言いたい。自分の旗の下でなければだめなんでしょうか。ほかにも9条の旗を振っている人はたくさんいるのだから、集めるのでなく集まるというふうにならないものなのか。天木さんという存在が、もったいない。このままでは、残念すぎます。


自民惨敗、民主躍進はたしかだけれど、民主以外の野党がことごとく惨敗なのは、相当問題です。
民主党も含め、ですが、特に極小なグループで闘おうとした党は(いまや社会党もそのひとつですが)、どのように共闘するかを戦略として考えていかなければ、この先が続かないでしょう。


ともかく、酷い法案を次々に数にまかせて強行採決する、ということにはようやくストップがかかるでしょう。その点はやれやれです。
遅すぎた感もあるけれど、それでも全体的には、「もうこの国はだめだ」というここしばらくの絶望的な思いが、ようやくすこしプラスに転じた、というのが個人的な感想です。

[政治・国際・社会]
2007.07.31 - 12:38 AM |
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