情報の収集・分析・評価

9月中旬に、北朝鮮で大規模な爆発が起きた、と報道されたとき、日本の政府からもマスコミからも、自前で確認した情報というものがまったく出てこないことに今更ながらびっくりしました。韓国が、米国が、英国が、こういっている、という伝聞ばかり。
もっとも近くにある脅威と言ってもいい国家に対して、情報収集能力も評価能力も何もない、ということはいったいどういうことなのか。
また、それだけでなく、海外から寄せられる情報についての分析や評価も、政府からは出てこず、マスコミでも、ごく限られた軍事・外交の民間の専門家が論評していたにすぎませんでした。
小泉は「今後よく事実関係を確認しなければならない」と言っただけです。なんだそりゃ。そんなの当たり前だし、むしろ、まだ始めてなかったのかヨ!と三村100人分ぐらいのツッコミを入れたいところでした。

イラクの人質事件のときもそう思ったのですが、日本には、なぜ、米国のCIAにあたるような、ちゃんとした対外情報組織が無いのでしょう。
「内閣情報調査室」というのがそれに一番近いのですが、しかし国内、経済、災害などの情報収集についての部門も含む調査機関で、全部で約100人、そのうち半数が世界各地の情勢の分析に関わっているとのことなので、50人。どう考えても少なすぎますね。世界にいったいいくつの国があるというのでしょうか。しかも各省庁からの出向者が多く、そういう方々は数年で交代してしまうから、この機関の情報収集・分析の能力はたかが知れています。

60年前の大戦時でさえ、情報の有無が雌雄を決した場面が多々あったのに……というかどの時代においても、情報を的確に入手して分析することがまず重要でないことはなかったし、さらにこの21世紀のIT時代、情報収集と分析の能力が著しく劣っていて、安全保障もないものです。
そんなことが非常に気になっていたので、先日下記の本を見つけて購入、一気に読んでしまいました。
情報と国家 -- 収集・分析・評価の落とし穴 』 江畑謙介著、 ISBN:4061497391

イラクの大量破壊兵器の存在の情報について、あるいは北朝鮮のミサイル所持の情報について、具体的な内容も、また情報の分析のしかたも、とても勉強になりました。
しかし何より、国家やマスコミの提供する情報にまどわされず、国民・市民がどのようにして情報を得たり判断したりするか、ということについての、基本的な手法、心構えに対する指摘が、非常に有益でした。
わかりやすく、またできるかぎり緻密に正確に書こうとしている姿勢が貫かれ、この本の文章そのものが、情報をできるかぎり正しく分析し、提供する方法を示しています。
国家安全保障における情報の扱いということだけでなく、科学的に情報を扱うとはどういうことか、いかに人は簡単に情報の罠にはまってしまうか、ということへの興味を満たしてくれる良書でした。

それにしても、日本の将来は暗い。これほどまでに情報の扱いがなっていないのに、世界有数の武器を持ってしまい、戦争をはじめることだけはできるようになってしまっている恐ろしさは、破滅に突き進んでいった第二次世界大戦のとき以上の問題かもしれません。
たとえ専守防衛であろうが、まともな戦いができるとはとうてい思えない。自衛隊のみなさんが本当に気の毒です。

しかし、「自衛隊のいるところが非戦闘地域」なんていう信じがたい発言がありながら、国会が大騒ぎにもならず、大して支持率も落ちないという……これは首相だけの問題ではないですね。暗澹としてくるばかりです。

[政治・国際・社会]
2004.11.19 - 10:36 PM |
情報の集約と提供のしかた——新潟がんばれ | こうの史代 『夕凪の街 桜の国』

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