誇りはどこにあるのか

このところ特に、首相の発言には論理も何もなく、ばかばかしくて聞く気にもならないものばかりだった。
だがこの期に及んで、無責任で他人ごととしか言いようのない発言には怒りを覚える。
三人の誘拐の原因が自衛隊派遣にあり、それを実施した政府の責任であることはあきらかだ。
せめて、自らの決断に自信があるのなら、全責任は私にある、となぜ言えないのか。

しかしどう言おうと、最悪の場合、市民を犠牲にしてもしかたがない、と考えていることを、政府の態度はあらわしている。
銃を下ろさねば人質を撃つぞと言っている犯人に「屈してはならない」と銃を向け続けている警官のようなものだ。
人質の命よりも大切な大儀があるのであれば全力でそれを主張し、命を犠牲にする責任を負うべきだろう。
そのような誇りと覚悟は微塵も感じられず、ぼくが右翼だったら情けなくて涙が出てくるだろう。
今日、Fさんと会話していて思い出させてもらったが、「人の命は地球よりも重い」と言ったのは官房長官の父であった。そのように言い、そのように行動した父親は間違いだったと言いたいのだろうか。ならば官房長官は自信を持ってそのように明言してほしいものだ。

だがぼくが誇りたくなるとすれば、そのような態度でももちろんなく、「命のためになら自信をもって屈する」勇気が存在したときだろう。
憲法の読み方を知らないのはもちろん、その存在すら無視する首相には、何を言っても無駄なのかもしれないが、日本国憲法が前文で高らかにうたいあげている「国際社会における名誉ある地位」は、「戦わないこと」によってこそ、占めようとしているのであり、そのような精神と、それを実現させるための行動をこそが、誇るべきものだ。

国際社会への貢献ではなく、国際社会への災厄を、米国はどれほどもたらしていることだろうか。
そのような「米国における誉められる地位」などいらない。

もう時間がない。
即刻、日本の軍隊を、自衛隊を、撤退してください。


# ここを首相が読むとも思えないので、同内容を、首相官邸のご意見箱に投稿してきました。
# 官邸ほかの宛先を含む各種アクションプランリストは ネットワーク地球村などにあります。

追記。
上記の官邸宛メールは10日に出したのですが、14日に官邸より返信がきました。
いちおう、ロボットではなく、人間が読んで、内容にあわせて転送・返事してくれているようです。

 小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございました。いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせていただきます。
 皆様から非常にたくさんのメールをいただいておりますが、内閣官房の職員がご意見等を整理し、総理大臣に報告します。あわせて外務省、内閣官房安全保障危機管理担当、防衛庁へも送付します。
 今後とも、メールを送信される場合は官邸ホームページの「ご意見募集」からお願いします。

                   内閣官房  官邸メール担当

[政治・国際・社会]
2004.04.10 - 12:27 AM |
母の仕事 | まだ続いている悪夢

コメント

» 成清: ( 2004.04.10 - 06:09 PM | 固定リンク)

こんちは。小泉氏が人質家族と面会しないってニュースを今やってました。先行きが不透明だとしても、会ってあげればご家族の心労が幾分か和らぐような気がするんですけどね。

» バーレルセル: ( 2004.04.11 - 11:52 AM | 固定リンク)

そうだよね、ほんとうに非情、かつ、非論理の宰相だと思います。
裏をかえせば、安心させたり、説得したりする自信がないのでしょう。

犯人グループが人質を解放すると発表したとのこと。ほんとうにそうであれば一安心。
だがこの件に対する政府の対応で、国民の命より「国」が大事という意志がますますはっきりしたわけで、撤退を一日でも早くしてほしい。イラク国民のためにも。

誘拐と恐喝という重大な犯罪を犯したグループに味方をするつもりはまったくないが、
「我々が解放を決定したのは、日本政府が必ずしも国民の意思を代表しているわけでなく、ブッシュ米大統領や、ブレア英首相の命令に従っただけだと判断したからだ。」
という声明は、「人道的」という言葉に値する判断を示していると思う。
国民の意思と無関係であればあるほど、政府を止めるブレーキとして脅迫は有効に機能しただろうから、彼らの目的を優先するのであれば、人質を手放す理由はないのだから。
ブッシュとブレアの部下である日本国首相よりよほど人情と論理を持っているではないか。

テロリスト以下の首相をもつ国民って……。国民はそれにみあった政府をもつものだ、という言葉がリフレインされる。ああ情けない。

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