同性結婚

サンフランシスコ市が同性の結婚を認め、結婚証明書を発行しはじめたことに対して、米国内ではたいへんな議論になっているようです。
シュワルツェネッガー知事が結婚を無効とするよう出した訴えを、カリフォルニア州の最高裁は27日、却下したとのこと。

こういうことが起きるところが、腐っても米国だなあ。
カリフォルニア州には、ぜひがんばってもらいたい。

ところで上記の訴えを退けた同州最高裁は56年前、当時違法だった異なる人種間の結婚を全米で初めて合法化した裁判所だそうです。
わずか56年前に、異なる人種間では結婚ができなかったのだという事実にびっくり。
はたして今から50年後に、かつて同性同士では結婚できなかった、という事実さえ忘れ去られるように、なってくれているでしょうか……。

同最高裁は、訴えを却下しながらも、サンフランシスコ市に対して、同性結婚を認めた理由を説明するよう命じた、ということなんですが、じゃあ「異性でないと結婚できない理由」を説明してもらいたい、と思うよね。
たぶん多くの反対論者は、「異性同士が自然の摂理」とか言うのでしょうが、第一に、人間の営みは、それ自身がすでにいわゆる自然の摂理とは異なるものでしょう。自然の摂理を論拠にするのであれば、服を着ないで外を歩けばつかまってしまうという、自然であることを禁じる法はなぜ問題ないのでしょう。「自然の摂理」など論拠にはならないのです。60年前には、「同人種間で結婚するのが自然の摂理」なんて言われてたんだろうな。
第二に、特に誰かに教えられたわけでも、ましてや強制されたわけでもなく、それこそ「自然」に同性が好きな人たちを、勝手に「不自然」と決めつけてしまうことになるのではないか。自然であることを重視するのであれば、生まれつきそう感じ、それに従って行動することを否定するのは矛盾でしょう。
自然とは何か、を、十分に考えもせず、それを論拠にすることはやめたいものです。

そしてより根本的には、結婚という制度がもはや意味を失いつつあり、それに代わる何かが求められているのだろう、と思います。

--
2004/04/01
その後、かなり揺れ戻しがきています。

カリフォルニア州最高裁は同性婚認定の合法性は判断しないまま、結婚証明書の発行を禁じる決定。[ロサンゼルス 2004/03/11共同]
結婚は男女間に限るとする憲法修正案が提出され、ブッシュはそれを支持。[ワシントン 2004/03/24 共同]
他州でも同性結婚の動きを封じるため、結婚を男女間に限るという州憲法の改正を行った州が4州、さらに14州が改正をめざしているようです。
また他州からきた人もサンフランシスコで認定を受けて同性結婚しているので、それへの牽制ということか、
オレゴン州のベントン郡(人口7万9000人)が、誰に対して婚姻の許可を与えることができるのか国により決定されるまで、同性・異性に関わらず、すべての婚姻を禁止すると発表した。[ポートランド(米オレゴン州) 2004/03/23 ロイター]
とのこと。「すべての婚姻を禁止」ってすごい。反発を利用して反・同性結婚の空気を作ってやろうということか。
ううん、なんだか残念。まあこういうものは、3歩すすんで2歩戻りながら、少しずつ、すすんでいくものなのかもしれないけど。
サンフランシスコでは、合法性について、5月下旬以降の審理で市と州が争うそうなので、注目しています。違法とするとしたらその論拠が興味深い。(ぼくには思いつかない)

ところで、

サンフランシスコ市が1ヶ月行った同性婚認定では4037組が結婚、57%は女性同士で、年齢は36〜50歳が55%、また69%は高学歴(大学の学位を取得している)[2004/03/18 NewYork Times]
だそうです。日本では男性の同性愛に比べて女性の同性愛の割合がかなり少ないような印象がありますが、表面に見えていない and/or 男性以上に抑圧が高い、のかもしれません。

あと、調べていて、お隣韓国でも、男性の同性愛カップルが区庁に結婚届を出したというニュースが。ただしそれが戸籍に記載できるかどうか裁判所との検討する、という話(2004/03/09 chosun.com)。日本ではまずそもそも受理しないような気がするのですが、とりあえず受け付けて裁判所にはかるというのは、手続きとしては正しいなあ。
---
2004/08/13
結局、

サンフランシコの同性婚は「無効」=加州最高裁が判断−米
 【シリコンバレー12日時事】米サンフランシスコ市が今年2月、州法を無視して同性間の結婚に証明書を発行した問題で、カリフォルニア州連邦最高裁は12日、証明書発行は「権限を逸脱した行為」として、証明書を受け取った約4000組の同性カップルの結婚は「無効」との厳しい判断を示した。 (時事通信)
[8月13日7時1分更新]
まったく残念。

[セクシュアリティ]
2004.02.29 - 01:53 AM |
『日経サイエンス』(2004.03) | 「黄色いリボン運動」

コメント

コメントを投稿