ウナギにトキメキ

ニホンウナギの産卵場所が特定されたそうです。
こういうことがあるたびに、やはりなるべく長く生きていたいものだ、と思います。

まだ幼かったころ、科学のドキドキを教えてくれたことのひとつが、ウナギの秘密、でした。
誰もこれまでウナギの産卵を見たことがなく、どこで生まれているのかもわからない、ということを知ったときの驚き。
馴染みの深い身近な生き物の、そんなことさえまだわかっていない。

科学というものを「わかっている人がいて、教えてくれる知識」のように思っていたぼくが、そうではなく、「わからない人がいて、わかるために探している知識」なんだ、ということを、ウナギの秘密が教えてくれました。
そのときの感覚を今でも覚えています。
まだまだ世界は未知にあふれていて、わからないことを知ろうとする努力のもつ、実に楽しそうな雰囲気。

わからないことは、わからないままにしておいたほうがロマンチックで楽しい、という人もいます。

山芋がウナギになるんだとか、ウナギは金星の生物だとか、そういう妄想をたくましくするのも楽しいけれど、でも、真実がわかる楽しさには、とうていかなうものではありません。

そして、わからないことがわかったとき、実はその先にまたたくさんのわからないことが、待っているのです。
この世界の秘密も、人の知りたい気持ちも、尽きることがない。

今回、特定されたといっても数十キロに及ぶ海域にしぼられたということであって、産卵の姿や卵が発見されたわけでは、ありません。

だからその先には、なぜウナギがそんな遠くに行って卵を産むのかとか、いったい何を食べて大きくなるのかとか、なんで幼魚はあんな葉っぱみたいな形なんだとか、不思議はまだまだ続いています。

少しでもたくさんの不思議を知るために、やっぱりなるべく長く生きていたいものです。

ニホンウナギ:産卵場所はマリアナ海域 東大海洋研が特定

生態に謎の多いニホンウナギについて、東京大学海洋研究所のチームがふ化したばかりの赤ちゃんウナギ仔魚(しぎょ)を世界で初めて大量に発見し、産卵場所を突き止めたと発表した。場所はグアム島近くのマリアナ諸島西方海域。(中略) 23日付英科学誌ネイチャーに掲載される。

mainichi-msn.co.jp

[科学と、科学でないもの]
2006.02.24 - 05:52 PM |
堀江メールでEudora知名度アップ? | ぼくの眼を釘付けにしていた君が、昇天。

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コメント

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◆ 僕の好奇心の代弁者になってくださったような文章がうれしかったです。
世の中の動きにはうんざりすることも多いですけど、ほんとうのことを知りつつ死にたいとつくづく思うことがありますよね。
◆ 僕の高校時代には、大陸移動「説」プレートテクトニクスが、教科書にも載ってない程度の「一つの仮説」で、変わり者の地学の先生が面白がって話してくれたのでした。そして大学に入学してみると、地学科の教授同士がこの説の真偽を巡って大人気ないほど露骨に反目し合っていました。
◆ また、僕は昔から、何となく自分自身までが不思議な存在になれるような気がするので生き者にまつわる不思議が好きでしたが、このあいだ放送大学の講義放送を見ていたら、最近の遺伝科学は、DNAがどのように折りたたまれているのかまで判っているそうですね。どうやって知るんだろう????

◆ それはそうと、ソ連が崩壊しないうちに死んだ方々可哀そう……。共産主義とは何だったのか?なぜ若者や、大の大人や、世界中の学者、知識人までが酔っぱらったように幻想にとりつかれてしまったのか、知りたいです……。

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