書籍・雑誌

秋庭俊『帝都東京・隠された地下網の秘密』

以前知り合いに借りたのだがほとんど読まないまま返してしまって気になっていたので自分で買って読んだ。
着眼点はおもしろい。
でもめちゃくちゃ読みにくい。
文章が下手だし構成力もなってない。著者もこれではジャーナリストと名乗るにはちょっと問題だし、編集者はなにをやっていたのか。
政府が隠蔽している多くのことがある、という指摘をするのであればそれをきちんとしたデータと検証によって暴くことこそジャーナリズムであろう。
推測が多く、また推測のまま終わっている話が多いので、こちらが検証したくなるおもしろさはあるが……(笑)
パート2がでたらしいが、とりあえず立ち読みはしてみよう。

洋泉社刊
帝都東京・隠された地下網の秘密
 ISBN:4896916808

帝都東京・隠された地下網の秘密〈2〉地下の誕生から「1‐8計画」まで
 ISBN:4896917847

2004.01.23 - 05:37 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

今日買った雑誌

『通販生活』2004年春号
テンピュール枕かメディカル枕かどちらを買おうか迷っていたんだけど、やっぱりメディカル枕を買ってみようと決めました。

『ku:nel』 vol.6
花巻の高村山荘(光太郎が晩年すごした小屋)のリポートが載っていました。いつかいってみたい場所です。

『BE-PAL』 2004年2月号

2004.01.26 - 10:51 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

今日買った本

情報編集の技術』矢野直明、ISBN:4-00-700026-3
宇宙人としての生き方』松井孝典、ISBN:4-00430839-9

2004.01.28 - 10:55 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『暮しの手帖 保存版III 花森安治』

『暮しの手帖 保存版III 花森安治』を読みました。
すごい人だったんだなあ。
広告を入れない、徹底した商品テストを実施する、といった程度の知識は持っていたけど、ぼんやり抱いていたイメージ以上の、筋金入りの編集者。編集者という言葉にはちょっとおさまりきらないけれど。

かなりぼくが好きそうなタイプ(って自分で言うのも変ですが)だし、『暮しの手帖』は、出るたびになんとなく本屋で気にはなっていたのに、これまで一度も買ったことがなかったのは、ぼくが興味を抱く前に花森安治がすでに亡くなっていたからかもしれない。78年に亡くなっているから、ぼくが書店で手にとってみるようになってからのはもう花森の編集したものではなかったのですね。
でもなんでうちにはなかったんだろう。母親がとっていなかったのがちょっと不思議。今度聞いてみよう。

初期の頃のを実際にみたいけど、高くなってるのかな……と思って調べたら意外にそうでもない。といっても古書としては高いか。一冊800円ぐらい。50号まとめて20000円というセットもありますね。
花森自身が毎号制作していた表紙(表紙絵を自分で描いてたってのも初めて知って驚いたが、ロゴまで毎回手書きって!? あの独特な字は記事のタイトルにも使われてるけど、全部編集長直筆だったんですねえ)もいいものがあるし、レイアウトや写真の使い方は、今見てもなかなかすごい。

この『保存版』で花森さんのすごさはひしひしと伝わったのですが、寄稿している人たちの原稿は、読んでて「ずいぶんいいかげんなもんだ」とも。
花森さんって人はいろんな伝説を生んでいるようではあるんだけど、だからこそ、いろんな人が同じエピソードをずいぶん違った形で記憶してて、そのいい加減な記憶のまま書いてる。
同じ話をこれだけ違ったバリエーションで読ませられると、この人たちの文章をまじめに読もうという気さえなくす。ちょっと調べたり人に聞けば確かめられそうなことなのに、しかもそうそうたる著者ばかりなのに……それこそ編集者はこのままでいいと思ったんでしょうか。とても不思議。

しかし花森亡き後四半世紀。よくもってるなー。広告なしで、商品テストなんて手間とコストのかかることをやって。……と思ってたら最新号には商品テストがないらしい! だいじょぶか?

2004.02.01 - 02:02 AM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『黒蠅 』

パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズ、待望の最新刊。前は毎年12月に出ていたのに、今回は三年ぶり。ずいぶん待った。
しばらく前に買ってすぐ読み始めたものの、電車の中など細切れで読むには惜しく、はじめのほうでやめておき、眠れない夜のためにとっておいた。
その夜が訪れたので一気に読了。
以下ネタバレ注意。

コーンウェルは何かを迷ったのだろうか。
面白さは相変わらず格別で、これまでとは違う魅力もある作品でした。
でも今回はストーリー上も、設定上も、そして文体も大きい変更がされていて、それらがいったいどのような理由によるものだったのかには、興味があります。
検屍官シリーズを今後も長く続けようとしたとき、ベントン亡き後のスカーペッタを書き続けるのはつらすぎたのだろうか。
たしかにその後のスカーペッタは見るに忍びないような傷心を負っていて、それは前作・前々作でも癒されることがなかった。
でも、その問題をはじめからなかったことにするのではなく、なにかの形で乗り越えていく様を見せてほしかったとぼくは思います。
大切なひとを失うということは必ずだれにでも訪れることで、スカーペッタのそのような姿を見せてくれることは、そうした場面に遭遇する様々な人の救いになっただろうにと思えるのです。ことに、死を通しての情景を描き続けているこのシリーズにおいては。
今作でもニックには、その母親の死を乗り越える試練をスカーペッタらしいやりかたで与えようとしているのに。

シャンドン一家にはいずれにせよ殺されていたであろうロッコに対して、なぜルーシーが私怨により私的に性急に手を下さなければならなかったのか。それをいとも簡単に許したスカーペッタはどうしたことだろう。小説の中の話、何もつねに法に則った行動をしなければならないわけではないが、彼女なりの正義のありかたや葛藤があってもしかるべき気がします。

そのほか
・スカーペッタの設定上の若返り……訳者も書いているように、これまでの設定どおりで老齢を迎えていく姿をぼくは読みたかった。若くした意味がわからない。むしろ逆効果。
・最高級の設備を誇り、美しい塗装を施した自分のヘリコプターを、たった一回の最初の作戦で失っちゃっていいの、ルーシー。ヘリコプターでなくてもできる作戦、ヘリコプターを失わなくてもいい作戦があると思えるのだけど。
・ニックの登場はおもしろい。今後のシリーズにどのようにかかわってくるのか興味深い
・ジャン・パブティストは逃亡し、シャンドン一家が壊滅したわけでもなく、つまり計画を失敗したのに姿を現してしまったベントン。今回の終わり方はなんとなくハッピーエンドだけど、次回が怖いです。
・ラストに近づくにつれ、「この残りのページ数でどうやってこの本は終わるのだろう?」と妙なハラハラ。
・にしても、ただの「語り」で説明終わりって……。

『黒蠅 (上) 』
ISBN:4062739070

2004.02.13 - 02:13 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『理髪店主のかなしみ』

この間ビデオ屋に行って邦画の棚を見ていたら『理髪店主のかなしみ』というタイトルがあって仰天した。
こ、これってあの、ひさうちみちおの?!
と箱を確かめたらやはりそうらしい。
あのカルトな超フェチコミックをどうやって映画に? いくらなんでも漫画のストーリーをそのまま映画にはできまい。
田口トモロヲが主役であるところから、ちょっと路線が違いそうな予感はしつつ、しかしいったいどのように料理して映画にするのかめちゃくちゃ興味がわいて、つい借りてしまいました。

で、観たところ……たしかに原作とはいろいろ違うのですが、根底に流れるフェチの精神はきちんと踏まえた佳作でありました。この監督(広木陽一)、自分もきっとフェチに違いない。
と調べてみるともともとはいわゆるピンク映画の監督だった人のようですが、未見でぜひ観てみたい!と思わせる映画ばかり。こりゃ探さなきゃ。

以下、観たいリスト。()内は自分の注目点。
『東京ゴミ女』(柴咲コウ、田口トモロヲ出演)、『美脚迷路』(ひふみかおり、鳥肌実出演)、『君といつまでも』(山本直樹原作、田口トモロヲ出演)、『不貞の季節』(団鬼六原作、大杉漣出演)

コミックを原作とした安易なドラマ化、映画化が多いが、こういうのは大歓迎。どんどんDVDにしていただきたい。


コミック →『理髪店主のかなしみ
ISBN:4872570588

DVD →『理髪店主のかなしみ

2004.02.13 - 03:16 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『日経サイエンス』(2004.03)

・「私たちはなぜ眠るのか」
睡眠すること、そしてレム睡眠とノンレム睡眠が存在することの理由はまだよくわかっていない。
覚醒時に傷つけられてしまう脳内の細胞はノンレム睡眠時に修復されているらしく、それがノンレム睡眠の存在する理由、という仮説。
この仮説が正しいとすると、寝だめができないのはうなずけるような。細胞が修復されきってしまえばそれ以上眠っても意味がないものね。
日中、電車を待っているときなどの意味のない時間に、5分でもノンレム睡眠ができれば、その間に少しでも修復しなければならない細胞が減って、夜あまり寝なくてもすむのかな。
もっともぼくはそういう寝方ができないので残念。
眠るのはすきだけど、寝る時間がもったいないと思うことは多い。食べることもそうだけど、好きなときにだけすればいいようになればいいのにと思います。

・「グルジアの化石が明かす初期人類の旅」
初期人類がアフリカで発生して、アフリカを出たのは100万年前と言われていたのだけれど、黒海沿岸で175万年前の原人化石が発見されたそう。まだほんの一部しか発掘がすすんでいないようなので、10年後には人類の初めの歴史ががらりと書き換わっているかも。こういう話は、わくわくする。

・「米探査機 火星着陸」
NASAのサイトで動向はいちおう追ってるんですが、探査車の大きさ、ちゃんと知らなかったけど、思っていたよりけっこうおっきいんだな。1.5m×2.3m×1.6m。
赤い大地で、がんばれ、スピリット。オポチュニティー。

2004.02.20 - 05:17 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『夏目房之介の漫画学—マンガでマンガを読む 』

夏目房之介氏の漫画評論は、自身が漫画を描くからこその視線が魅力だが、その出発点となった本の文庫化、のようです。
さっと読み終わりましたが、線の流れやコマから読み解く手法がやはり新鮮でおもしろい。

『夏目房之介の漫画学—マンガでマンガを読む 』
ISBN:4480026258

2004.03.05 - 04:17 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『ZERRO』

様々な符号や文字を見開きで扱った内容もとても面白いが、装丁も紙も凝っていて美しい本。
このような本は、手元においておきたいと思う。

ZERRO』 松田行正 著
ISBN:4434038656

2004.03.05 - 09:20 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『人間にとって法とは何か』

人間にとって法とは何か』 (橋爪大三郎 著)
ISBN:4569630847

オウム裁判の一審判決が出て、法についての興味から購入。

最近、法というものが機能しなくなっていることへの危機感がある。
自衛隊の派遣についても、松本智津夫被告の裁判についても、なんだか漠然とした不安を抱いていたが、この本を読んで、今ぼくが住んでいる社会の中で法治がゆらいでいること、もしくは、法治というものが現在の日本社会になじんでいないことへの大きな不安によるものであるということがはっきりしてきた。

さらにいえば、それは論理が重んじられないことへの不安であり、何を言っても無駄かもしれないということへの恐れでもある。

いつも深みのある視点を与えてくれる橋爪大三郎氏著。以前からポット出版の沢辺さんに誘われている「人間学アカデミー」の講義録が新書になったものでした(今度はぜひ聞きにいきたい)。

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2004.03.08 - 01:13 PM ||コメント (0)|トラックバック (1)

漫画『アクション』

漫画『アクション』が復刊しました。

ぼくには漫画週刊誌を買うという習慣がなく、それはよく言われる「大の大人が電車の中で漫画を読んでみっともない」とかいう理由ではなく(別にみっともないとは思いません。ただしエロ系は、漫画に限らず、嫌悪する人がいる公共の場ではひろげて見ないほうがよいとは思います)、いいと思える漫画はまとめてちゃんと読みたいから、細切れに週ごとに読まされるのを好まないのと、読みたくもない漫画といっしょに買わなければならないのも無駄に思えるからです。

でも例外的に、大学時代の一時期、『アクション』を買っていたことがありました。また仕事に就いてからは、『モーニング』を毎週買っていたこともありました。それらに共通していたのは、ほかの漫画週刊誌にはない、新しいものを希求する雰囲気があり、漫画家が表現を一心に試み、編集者が冒険している面白さでした。
ただそれでもやはり細切れ、ゴッタ煮の形式であることには変わりなく、たしか月刊『アフタヌーン』が創刊されるとともに、そちらを買うようになり、週刊誌を買うのは止めたような気がします。
『アフタヌーン』は、月刊だということもありましたが、『モーニング』よりさらに先進的で、新しい作家の描く新しい世界を積極的に取り上げていて、ほかの雑誌では読めない漫画ばかりでした(それは今の『アフタヌーン』も変わらないようです)。

ただし、ぼく自身はここ数年もう単行本しか買わなくなり、さらには漫画喫茶の隆盛により、買わなくても新刊漫画はほとんど読めるようになったので、よほど手元においておきたい単行本以外は買わなくなりました。

しかし復刊した『アクション』を買ってみて、この雑誌がまた新しいことを始めたのを知り、漫画という、リアルタイムでの市場性を持つ表現方法のさらなる拡がりを感じています。
蓮池透氏が原作を書いて正面から拉致問題を扱っている作品をはじめ、死刑、こどもの性、カルト宗教、警察の腐敗、格闘技、キャバクラなどなど、今まさに旬な社会問題をテーマにした漫画満載です。キャッチコピーには「疾走するメッセージコミック」とあります。

社会派と言われる漫画作品はこれまでもありましたが、雑誌全体が社会的なテーマを中心にすえ、かつエンターテイメントとして成立させようとする試みはとてもおもしろい。週刊誌ではなく隔週刊ですが、2号目にも新連載開始が予告されていて、楽しみです。

2004.04.22 - 03:50 AM ||コメント (0)|トラックバック (0)

知るための方法を知るための方法

科学というものは、実験と計算でできた冷たいゲンジツ、みたいに見られているところがあります。

でも本当はそうではなく、わくわくする気持ちを源泉とした、世界の秘密を知るための方法、であるとぼくは思います。
そしてその「方法」は、科学者でないぼくらにとってもまた、この世の中でいろいろなことを知ったり考えたりするために絶対必要な、とても大切な「方法」です。

科学とは、知識ではなく方法だ、とずっと思っていたぼくですが、その方法そのものを考える学問がちゃんとあることを、最近になってようやく知りました。
自分の不勉強さにあきれつつ、またひとつ面白いものに出会えた喜び。

「科学哲学」とよばれるその学問をぼくに紹介してくれたのは、「科学と科学でないものの線引き」という課題を通して科学とは何かを考える『疑似科学と科学の哲学』という本。とても勉強になりました。
科学それ自身についての理解はもちろんですが、「どのように知り、考えるのか」ということについて「知り、考える」ためのとてもいい教科書です。
頭をフル回転させながらでないと読み進められないので、時間がかかりましたが、でもたぶんこれからも何度もひっくり返して読むだろう一冊です。

疑似科学と科学の哲学
伊勢田哲治著、名古屋大学出版会刊
ISBN:4815804532

著者は名大助教授で、名古屋大学出版会刊だから、実際に教科書として使われているものだと思います。
そういう意味では、「どのような題材で、どのように教えるか」ということについても、とても参考になりました。内容は堅いけれど、構成も文章も読みやすく、おもしろいので。

2004.05.01 - 01:52 AM ||コメント (0)|トラックバック (0)

『隠すマスコミ騙されるマスコミ』

隠すマスコミ、騙されるマスコミ 』読了。

小林雅一著、文春新書
ISBN:4166603183

興味深い内容だったが、気になるところが少しだけあったので著者にメールを書いてみた。

以下、著者へのメール。

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2004.09.13 - 09:36 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

文藝春秋へ問い合わせ

ネットで調べた小林雅一氏のアドレス(masakobayashi@netzero.net)はエラー(Service Unavailable)で戻ってきてしまったので、本の発売元である文藝春秋に連絡先を尋ねようとサイトに行った。
問い合わせ先のメールアドレスや電話番号がどこにも見つからず。
しかたがないので、
ご意見(Feedback Form)
https://www.bunshun.co.jp/feedback/index.htm
から記入。

結局、著者へのメール転送はしてくれないらしい。メールアドレスを持っていない著者も多かろうが、持っていれば郵送より手間がかからないのだから、それぐらいしてもよいのに。

以下経過。

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2004.09.16 - 03:37 PM ||コメント (0)|トラックバック (0)

こうの史代 『夕凪の街 桜の国』

宇宙の、地球の、生命の、ヒトの歴史という時の流れの中に、自分がいることを知り、感じることができるのは、ヒトとして生まれ生きている幸福のひとつだろうと思う。
自分が今、ここで生きている、ということ。いつかは必ず死ぬ、ということ。
自分以外のすべてのひとも同じだということ。
それを理解するための知識と、感じるための想像力が与えられている奇跡に感謝したくなる。

そして、その能力を最大限に発揮して、ほかのひとに伝えることができるひとがいて、その作品に接することができるということにも、感謝する。

100ページあまりのこのマンガは、そのページ数にかかわらず、読み終えるのに時間がかかる。
ストーリーが難しいわけでも、重いわけでもなく、むしろ軽快。
絵が複雑なわけでもない。やわらかく、むしろかわいらしい。
にもかかわらず、1ページ1ページ、ひとコマひとコマを軽く読み流していくことはできず、ついじっくりと見入ってしまう。
一度読み終えても、また何度もまた読み返してしまう。
そして読み返すごとに、作家が込めた思いや意図を新たに発見して驚き、心に響く。

日常の生活のなかの小さな所作やモノをていねいに念を入れて描き、そうした表現が、ひと同士のいろいろな関係や、時の流れの中でそれぞれの生き方を選択していくことに見事につながっている。

だれかが、憎しみや利益のためにおこす争いに、理不尽に巻き込まれることの痛み。
ほんの気まぐれのような偶然だけで、生き残ってしまったことの苦しみ、生きている希望。
記憶を手渡してゆきたい、それを受け取りたいという思いが、時を超え世代を超える。

ひとが、抱えて生きている喜びと悲しみ。その両方に、涙する。

夕凪の街 桜の国 』 こうの史代 ISBN:4575297445

2004.11.25 - 07:11 PM ||コメント (0)|トラックバック (1)

「電車男」著作権と「知的財産」

「電車男」。いろいろなところでいろいろな話題になっているようです。
関連するリンクをたどっていて見つけた下記のページにある記述、これはひどい、と思いました。

「電車男」の著作権は?[ipr.go.jp]

「内閣官房 知的財産戦略推進事務局長」という肩書きを持つ荒井寿光氏が、その局のサイトに書かれているエッセイです。
ネット上のコンテンツの動静と、著作権そのものについて、この荒井氏は何もわかっていないのではないか。
わかってないがゆえに、ネットが存在するようになったことによって著作権に生まれている問題点や課題についても、まったくわかっていないのではないかと思います。

これが素人のブログに書かれていることなら、ただわかっていない人が日記をつけているだけ、ですむのですが(実際、この件については、同じ素人のぼくから見ても、それは違うだろう、という記述があちこちで散見されます)、「知的財産戦略推進事務局」という組織のトップがこれでは……。

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2004.12.07 - 07:04 PM ||コメント (0)|トラックバック (2)

『オーマイニュース Ohmynews の挑戦』で落ち込む

インターネットによる新しいメディアのありかた、とか、新しいジャーナリズムを作っていく、とか、そんな関係の本を読むことは、ほとんどの場合ぼくに元気を与えてくれます。
そしてこの本は、そのとおりの内容が、世界の注目する新しいメディアの長自身によって書かれているにもかかわらず、読めば読むほど、ぼくは暗澹たる思いに包まれました。
Ohmynewsの活躍はいくども伝え聞くところであり、これからのメディアのすばらしい見本として強い興味を持っていたし、この本が出ていたことも知っていたのに、なぜか自分がなかなか手を出さなかった理由も、はっきりしました。

日本では、このようなメディアは実現できない。

韓国の市民の意識のありかたに感嘆するとともに、それとわれわれを比べたときの落差にがっくりきました。オ・ヨンホ氏の言う「準備された市民」がいないばかりか、「準備」の必要すら感じてない市民が大多数ではないでしょうか。

しかし、そのようなことを理解することができるだけでも、本書を読むことは価値がありました。

ソフトバンクがOhmynewsに出資して、日本でも、日本語と日本人の市民記者によるニュースサイト設立が進んでいるようです。あきらめず、期待したいと思います。

オーマイニュースの挑戦 韓国「インターネット新聞」事始め 』
呉連鎬(オ・ヨンホ)著
太田出版刊
ISBN:4872339304

ソフトバンク株式会社 ニュースリリース
韓国・Ohmynews Co., Ltd.および同社日本法人への出資について 2006/2/22

2006.03.11 - 08:42 PM ||コメント (0)|トラックバック (1)